× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
![]() |
ただ、七生がここにいたっていう感覚を、ちょっとの間、リアルに残しておきたいだけ
耳が隠れる長さで切りそろえたおかっぱ頭を、私はほんとうに気に入ってしまった。 はじめは駅までの未知は途方なく遠くに感じて、私を安心させた。 だけど、どうがんばってもいつもと同じように十分ほど歩いたら駅が見えてきた。それが悲しくて、私は涙をこらえることができなかった。 「元通りになるだけだよ」七生はいったけど、それは違う。もとどおりになるものなど、この世にはひとつもない。 記憶はこの先薄れていくだろうけど、その時感じた感覚はずっと私の中に根をおろしていく。七緒の存在しか知らなかった一年前の私には、戻れるわけがない。それは、とても幸せなことで、とても切ないことだ。 『7's blood』 あとがき 先輩の家で過ごす三人の時間には、私の触れたかったものがあった。本当の家族にはないきれいな優しさと、他人の間には流れない緩やかな時間があった。丁度よい温度を持って、私達三人はつながっていた。 そこら中にいろんな関係が転がっていて、誰かとつながる機会が度々ある。それは幸せなことだ。心地よい関係に身をおくことも、それを描き出すこともとても楽しい。 『卵の緒』瀬尾まいこ 網野智世子 評価 PR |
![]() |